コラム

フライトおもしろ話 A 

雪にカミナリ、風に雲  1999.3.13  高橋

地上では怖いもののたとえに地震、カミナリ、火事、親父ですが空の上では地震は乱気流に当てはまりそうです。カミナリと火事は同じですが親父には隣に座った怖いインストラクターや後部座席に座った口うるさい乗客が当てはまりそうです。

小型機のパイロットにとって注意しなければならないことは沢山ありますが、特に天候には注意を払います。フライト前には必ず気象データを取り寄せ目的地に行って安全に帰ってこられるかを検討してからプランを提出します。一般に各飛行場で1時間ごとに出されているMETARという気象実況によってこれから行く飛行場や途中の経路に近い飛行場の風や雲、視程、気温などがわかります。そしてこれからの天候予測はTAFやFORCASTと呼ばれるデータによって調べる事ができます。その他には各高度別天気図、衛星写真など資料はその他にも数多く出ています。

パイロットは風には特に気を使います。離着陸の方向を決めるのも風の方向や強さです。また山の多い日本では飛行経路に山越えも多く特に注意を払います。山越えは特に風下から風上に飛ぶ場合、峠の手前では相当の高度を取っていないと高度をおとされてしまいフルパワーに入れても上昇しないことがあります。そのままでは山に衝突の危険が迫ってきてひき返す以外になくなり狭い谷間で旋回するとさらに高度を落とし送電線に接触し墜落すると言う危険があります。山越えは十分高度を取って飛ぶ必要があります。その他には富士山や大きな山の風下側に発生する山岳波と呼ばれる乱気流があります。富士山の場合、三浦半島あたりまで影響する場合もあるそうです。またジャンボ機などの大型機の後方に発生するウェークタービランスと言う翼端渦があり大型機の離着陸のあとの離着陸には5分以上の時間を空けて離着陸する必要があります。

有視界飛行においては視程は5キロ以上高さは1000フィート以上なければ飛行できません。また雲の中に入って飛行しては行けない決まりになっています。これができるのが計器飛行でレーダーで誘導で飛行しますが特別の資格が必要で自家用機パイロットではあまりいません。有視界飛行でも天候が急変し地上が見えなくなった場合レーダーと交信し飛行場まで誘導してもらうこともできます。

雲は大きく分けると巻雲系、絹雲系、積雲系とあリ巻雲や絹雲系、積雲でも小さいものはさほどの危険はありませんが積雲の大きいものは積乱雲と呼ばれ雲の中はひょうや氷が上下する大嵐になっていてカミナリも発生しています。大型機でも中に入ったら無事では戻れませんのでよけて飛びます。このようなときは小型機は飛ばないのが一番です。知らずにこの積乱雲のそばに行くと急に暗くなり大粒の雨とカミナリが鳴りますので元来た道をひき返すほうが懸命です。

カミナリは小型機を狙って落ちるかどうかですが、飛行機は空気中に浮かんでいてアースしていないので狙って落ちてくることはないそうです。私は見たことはありませんが、たまたま雷光が飛んだとき飛行機がその途中にいた場合落ちたところに数ミリ程度の穴があくことがあるそうです。

大雨や雪の中も飛ぶことはできます。私もバケツをひっくり返したような雨の中を飛んだことがありますが大雨の中に入って少しするとエンジン回転数が落ちてきてびっくりしましたがすぐキャブヒートレバーを少しひいて機体正面についている雨で水浸しになったエアーフィルターを通さない空気を入れると回転数が上がりました。でも怖くなってすぐひき返しました。あとで機体を見ると雨で洗われてきれいになっていました。
雪の中も同じでエアフィルターが雪で詰まった場合キャブヒートレバーをひきバイパスから空気を取りこめば飛行は可能です。しかし雪が主翼など氷着きはじめたら氷が抵抗力となって速度が落ち氷の重さが重なってすぐに飛行は困難になります。すぐに氷着する空域から抜け出るか近くの飛行場に降りるか選択する必要があります。

いずれにしろ天候は急激に変化し予想しない事態になる事がありもとの飛行場にもにひき返せない事態になることもあって雲や大雨、カミナリの中に入らざるを得ないこともありますその時の対処を常に考えてフライトしておく必要があります。

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