コラム

日本BTAフライトシュミレータ試乗記
                                             2004.02.21
                                  リバーサイドエアロクラブ 河原千春



 御徒町にある日本BTA様のFSセンターにて、B777のBS21、双発のTS21、本格的なモーション機能のある単発のFS21、ヘリのシュミレーターHS21、モーション付き小型シュミレーターのFS−Chairの5種類のシュミレーターに搭乗させて頂きました。

 21日、約束した10時にFSセンターに行くと、飲み物やお菓子などが用意されており、すでに当クラブの広田会長がFS−Chairの試乗をしていました。
 その後、続々とメンバーが集まり始めたので、早速一番興味のあったB777のBS21のキャプテン席をGET、コーパイはクラブ員の伊藤さんにお願いしていよいよ試乗開始です。
 
 一通りの計器の説明を受け、FMSにコース情報、V1・VR等のバグなども設定していよいよエンジンスタートです。
まず「No2エンジンスタート」とCallし(これが気持ちいい)オーバーヘッドコンソールのNo2エンジンのスタータ・スイッチをON(Start)にします。
そして中央パネル、EICASのメインディスプレイの3段目にあるN2ゲージ(高圧コンプレッサ)が20%になった所でスラストレバーの下にあるフューエルスイッチを押し上げてエンジン点火します。
 正常に点火するとメインディスプレイ2段目のEGTゲージ(エキゾウスト・ギャス・テンプ)がググッと上がり、同時に上段のN1ゲージ(低圧コンプレッサ)も上昇してきます。
エンジンが点火されたのを確認し、スタータースイッチを戻し、同様にNo1エンジンもかけます。
キュイーンというジェットエンジン独特の音が上がっていき、気分が盛り上がります。
 そしてパーキングブレーキをOFF、羽田空港のランウエイ34R上でスラストレバーをMAXパワーにしランディングを開始、V1、VRでローテーション、機体はぐんぐん上昇します。
「ギアアップ」とコールすると、すかさずコーパイの伊藤さんが操作レバーをUP、ゴーッ、ガックンとギアが収納される感覚がリアルに表現されます。
 ここで機体の特製を掴むため、パワーで高度を、ピッチで速度をコントロールする練習をしましたが、なかなか難しく、パワーはコーパイの伊藤さんにまかせてコントロールに専念します。
 N1を50〜60%位で巡航速度に設定、オートパイロットの設定はしていますが、せっかくなのでマニュアルで飛んでいるうちに機位喪失、木更津VORをまわり、羽田空港へ行こうとしますがなかなかうまく行かず、一旦止めてもらい木更津上空に機位をリセット、今度はランディングに挑戦です。
パワーを徐々に落とし、フラップも徐々にダウン、ギアダウンしましたが最後のコントロールがうまくいかず、2回ランウェイ手前に着水、3度目にようやくランディングできましたがオーバーランしてしまいました。
時計を見ると12時を過ぎ、すでに2時間を経過していました。

 お昼を交替で取り、他のシュミレーターにも挑戦です。



 以下はシュミレーターごとの体験内容です。


TS21
双発のフライトシュミレーターでプロペラは可変ピッチです。
可変ピッチは初めてなので、広田会長に注意点を聞き羽田ランウエイ34RからTakeOff、普段は飛べない皇居上空を飛んで下総に無事ランディング、と思ったら胴体着陸してしまいました。
(普段は足が出たままのカデットに乗っているのでつい忘れてしまいました)
モーション機能はありませんが音と振動で実機の気分は味わえます。
後でお聞きしたところによると、このシュミレーターでIFRの練習をしに来る人もいて、実機での訓練時間がかなり短縮されたとか。


FS21

本格的なモーション機能のある単発の、シュミレーターです。
私が試乗した時はセスナ182RGとして設定されており、周囲も囲まれており、Gはターンコーディネーターのボールに連動するようになっているそうで非常に実機の雰囲気があります。
このシュミレーターで練習してアメリカに航空留学した人が5人ほどいるそうですが、全員45時間以内の実機訓練でライセンスを取得されたそうです。


HS21

21日は、前日に今回の試乗会用にソフトを2002から2004にバージョンアップしたところうまく調整ができず、計器の画面のみ見せて頂きましたが、28日には2002に戻してあり、3画面+右下足元の1画面があり、計器の画面も独立しておりJetRanjerVのシュミレーターとして設定してありました。(画面数は合計5画面、かなりリアルです)
コレクティブピッチレバーもしっかりしたものがついており、羽田から離陸して都庁のヘリポートに降りようと試みましたがやはり接地は難しくて無理、都内を遊覧飛行して羽田に戻りました。


FS−Chair
モーション付き小型シュミレーターでパソコン1台で制御されておりホビーユースですが、3画面でお遊びとしては充分すぎる性能だと感じました。
FS−Chairは1画面のモーション付き小型シュミレーターもあり、値段も50万円台からという事で、購入を検討している人もいました。
お聞きしたところによると、もう少し安く作成できるように開発の検討もされているようです。



 全てのシュミレーターの画面はマイクロソフト社のフライトシュミレーターを使用しているとの事ですが、モーション機能のハードウエアはもちろん、B777では計器類やPFD、ND、EICASの画面のソフトなどは自社開発されており、技術力の高さを感じさせられました。
B777のBS21はテレビの撮影「奇跡体験!アンビリーバボー」などにも利用されたそうです

 2日間に分けて堪能させて頂き、このような機会を設けて頂いた日本BTAの矢吹社長、津山様はじめシュミレーターの操作指導をして頂きました皆様に感謝いたします。

機会がありましたらまた試乗させていただきたいと思います

 

 

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