コラム 2002.7.27       JA4063をフェリーして       菅沢 幹雄

 7月27日朝、9時ちょうどに龍ヶ崎をティクオフ。機長は千田さん、コパイが高橋さん、私は帰りに4063をフェリーさせて頂こうと、後部座席でくつろいでいました。小さなcu系の雲はあるものの、100キロ視程で申し分の無い飛行日和。快調に高度を上げていく愛機3607、千田機長は殆どダイレクトに八尾を目指します。
 離陸から15分位、高度3000フィートを越えたあたりから富士山がはっきりと見えてきました。都心を6500フィートでクリア、富士山の南側、箱根芦ノ湖上を一路八尾をめざして快速に飛行します。帰りのこともあり、少々急ぐ気持ちからエンジンは2400回転をキープしています。速度は90ノットから100ノットくらいでています。非力と言われた愛機チェロキーも少し早くエンジンを回せば(6500フィートで2400回転ではまだ60パーセント出力くらいです。)結構早いんだ〜何て言っているうちにKOWA VORをクリア。津市上空にさしかかったあたりで到着予定時刻は11時30分頃と予想されました。山岳地を超え、奈良市が見えてきました。生駒山の向こうが八尾です。山の南側の高速道路をトレースしていると間もなく八尾空港が見えてきました。5マイル地点でタワーコンタクト。R/W 27で滑るように着陸しました。予想どおり11時30分の到着、なんと所要時間2時間30分で八尾に到着です。

 到着後、ガスアップをしていると第一航空の整備部長さんがお迎えにきてくれました。時間もないため、第一航空の事務所にお邪魔して急いで売買手続を行います。少ししてラインで駆けつけた鈴木さんが到着しました。これで本日のフルメンバーがそろいました。書類確認と機体の引渡しを受けたころ、時間は1時30分になっていました。ゆっくりお昼ごはんを食べている余裕はありません。帰りも2時間30分で到着できる保障はなく、昼食も取らずに帰り支度となりました。でも、高橋さんの機転により、機内食が用意されていました。実は八尾に向かっている愛機3607上で機内軽食が出ていました。また、残りの機内食は2機となった愛機にそれぞれ分配されていました。帰りの飛行中に、また機内軽食があったのです。助かりました。さすがに百戦錬磨の高橋さん、抜かりがありません。

 さて、帰り道は受け取ったばかりの4063は私が機長、3607は鈴木さんが機長です。早めに出ようと、1時30分過ぎからCABに向かいました。ウェザーを調べて飛行に支障なしを確認、プランをファイルして機体に戻ります。4063のコパイは千田さん、3607のコパイは高橋さんです。私にとって4063はこの日、初めて見た機体であり、当然のことながら全く判りません。この状態で飛行することは、これまた当然のことながらできる訳はなく、この機体に詳しい千田教官の指導のもと、機内に搭乗して計器・装備の取り扱い講習です。そうこうしているうちに3607はタクシングをはじめました。千田教官の丁寧な指導にもなかなか飲み込めず、こちらはまだ出発の体制ではありません。飛行機としては同じですが、まず計器の取り付け位置が違っています。タコメーターはどこ?、スピードメーターは?、高度計は?という具合で、すべてがこの調子。おまけに無線装備が充実しすぎていて、通り一遍の説明ぐらいでは頭の中が整理できません。3607はレディーコールしているし、余り遅れるとフォーメーションができない。来る時から真似事フォーメーションで返りましょうと言っていたので余り遅れたくない。そこで、とにかく安全に飛行できる最低限度の操作のみ覚えてナビゲーションは千田さんにお願いすることにして出発です。第一航空の整備部長さんのお見送りを受けながらR/W 27で離陸。この時すでに3607が離陸してから7〜8分経過していました。
 初めての機体ですが、離陸・上昇はスムーズです。エンジン音もかなり静かです。乗り心地もこれまた、かなり重厚です。車に例えれば3607は4気筒車、4063はV型6気筒車という感じです。でも、特に力強いという訳ではなく、離陸後生駒山を真っ直ぐに飛び越えるのは難しそうでした。そこで南側にう回して、来たときの逆ルートをたどります。性能上はスピードメーターがノット表示となっているだけで、離陸、上昇、クルージングとも3607とほぼ同じです。先に3607が行っているので少し急いでエンジン2450回転で後を追います。飛行中も千田教官による無線装備の講習は続きます。COM1,2、スタンバイの切り替え及びマイクの切り替え選択、スピーカーとヘッドセットの選択、NAVI1,2、スタンバイの切り替えとインジケーター位置の関係、ADFの取り扱い、DMEのVORとの関係及び選択方法、覚えてしまえば非常に便利になっていますが、それまでは大変です。
 そうこうしている内に津市上空です。7500フィートで飛行中の3607から航空機間通信周波数の122.6メガでお呼び出しがきました。その時点では同じく7500フィートで飛んでいた4063はまだ20マイルくらい後ろです。KOWA VORをクリアした時点でもまだインサイトできません。この時点で10マイルくらいまで追いついていました。もう見えるはずと言う事で一生懸命に探しました。さらに15マイルくらい飛んだとき、ようやく前方に機影を確認。でもなかなか追いつきません。どおしてどおして、なかなか敏速なチェロキーです。そこで122.6メガで3607を呼び出し、スピードを落としてもらいました。ぐんぐん機影は近づきます。あまり近づくと危険なので300メートルくらい離れた左横に4063を付けて、そこからサイドスリップで100メートルくらいまで寄って飛行中の勇姿を写真に収めました。その後、4063は来たときの逆ルートで富士山の南側からダイレクトに龍ヶ崎に向かい、3607は木更津経由で帰頭しました。

 4063で飛び上がってからずっと各種取り扱い講習が続いたわけですが、操縦系については計器の位置についても10分くらいで慣れてきます。無線装備に関しては、自分のやりたいように扱えるようになったのは富士山を廻るころでした。つまり、2時間くらいあーだこーだと動かしてようやく覚えたということです。
 龍ヶ崎到着は17時05分、3時間05分の工程でした。送れて17時10分すぎ、3607も到着です。ルートが多少違いますが、4063の方が15分くらい早く着いた計算です。でも、燃料の消費量は4063が90リットル、3607が110リットルで、4063は早くて驚くほど省燃費であることがわかりました。乗り心地がよく、音も静か。ロングクロカンが楽しみな機体です。


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